鋼田一忍44歳。十一   

ある日の昼下がり、昼食を終えた忍はソファーに横に成り、ウトウトzzzとしていると、何やら呻き声の様な物が聞こえてくる・・・
良く聞くとキャロルの声だった。

すぐさまキャロルの居る部屋に駆けつけると、キャロルはお腹を押さえながら
パパ、アコお腹マサキ(痛い)マサキナ・・・と呻いている!
驚いた忍は、
チョ!ちょっと待ってーナ
と直ぐに掛かり付けの病院
堀順次産婦人科
へ電話を掛けた!病院側は
では直ぐに来て下さい、準備をして待ってます。
と親切な対応をしてくれた・・・

忍はキャロルを愛車のFUGAに乗せ、
堀順次産婦人科
までかっ飛ばした。
玄関前に横付けし、キャロルを車から出そうとした時にはもう看護士達が駆けつけてくれ、すぐにタンカで分娩室へ・・・

看護婦長は優しく
旦那さん、そんなに心配しないで!私達もプロなんだからさ!任せてょ~、どうします?お産に立会いますか?
と訊かれたが、忍は首を横に振って
と・・とんでもないいです!なんせ初めての経験ですし、プレッシャーに飲み込まれそうです。廊下の椅子で待ってますよ・・・ハァ~
と深く息を吐いた・・・

この 堀順次産婦人科は忍の地元に在る古くからの病院で、実は忍もここで産まれたのである!
今は二代目の 堀純太氏が院長をを勤め、切り盛りしているが、
忍が産まれた時は先代の
堀順次
氏の手によるものであった、残念ながら氏は5年前に亡くなった、90歳の大往生であった。

またこの2代目院長と忍はJC繋がりで何度もゴルフや飲みに出かけた事が有った・・・
彼は旅行が好きで頻繁にバンコクへ出かけていた、しかし簡単に女の子の言う事を信じてしまう癖があるのか、
タニアのカラオケーナに『貴方と一緒に住む家が欲しい~』
と煽てられ、500万円あげた翌日にバックレを喰らった事が何と3回も有ると言う奇怪な人物だが、
医者としての腕は確かで面倒見が良過ぎる為か、相手の女性はその優しさ(弱み)に付け込みいつも堀氏は最後は騙されるのであった。

忍は廊下の長いすに腰を掛け、脚をガクガクと上下に揺らし、右手の人差し指で膝をトントンと叩きながら、腕時計を見て壁の時計を見るの繰り返しであった。

そして数時間後・・・
おぎゃ~オギャ~ォォオ~~ンンと泣き声が聞こえてくる!忍は顔をあげ、心配そうな表情は一転して笑顔に変わっていた・・・
分娩室のドア上部のライトが消え、
堀純太院長が出てきて
忍ちゃん!中へどうぞ!奥さん頑張ったよ、赤ちゃんも元気で健康そのもの!

中へ入るとキャロルが一言・・・
パパ・・・アコ頑張ったよ・・・
忍は涙を流しながらキャロルの手を握り
良く頑張った、良く頑張ったね。アリガトウ・有難う・サラマット!と嗚咽の入り混じった声で言い続けた。






             

続けて堀純太院長に深々と頭を下げ、 先生・・・有難う御座います!有難う御座いますと涙と鼻水でグシャグシャになった顔で何度も何度もお礼を言った・・・

院長: いや~奥さん頑張ったよ!本当に頑張った・・・

忍:有難う御座います・・・ウゥゥ~

院長: 案外すんなりと産まれましたよ・・・
忍:ウウゥ~嬉しいです・・至福の極みです。

院長:産気付いてから・・・産まれるまで早かったです、まあ奥さんは
初めてのお産では有りませんから。


忍: え?


鋼田一忍・44歳。第一部完
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by bukkakedaimaoh | 2006-10-08 21:14 | 2流小説。

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